中村:
今日は富山県理容美容専門学校から撮影しております。
富山県理容美容専門学校の校長先生の金谷校長先生にちょっとお話を伺いたいと思います。
今日はよろしくお願いいたします。
金谷校長:
よろしくお願いいたします。
これから同窓会組織を立ち上げる
中村:
この学校の歴史は長いんですよね?
金谷校長:
はい。今年で79年目で72期生が入学してきています。
中村:
これまでにあまり同窓会みたいなものは…?
金谷校長:
そうですね。実は全く同窓会組織というのはなかなか立ち上げてなくて無くてですね…
他校さんが同窓会が二つあったりとか非常に学校の運営にも協力していらっしゃることをちょっと見ましてね、まぁ、学校の集まりなんかでね。
非常にうらやましいなと思っておりましたし、OBの方々が業界そして学校、自分の出身学校をね一緒に業界の中でまた自分の師弟の方とか後輩のことも育てていかれる姿を見て、うち(富山県理容美容専門学校)にはなかなか無いなと…。
同窓会というものがないのでどうやって立ち上げていこうかなというのは考えておりますが、同級生の子たちが横の方面でずっともう本当に大先輩のあたりからずーっと横で同期会というのをその当時の先生を呼んでね。
そういうのをやっていたのは私どもも少し聞いているんですけれども、それが組織として縦になって無かったんですよね。
中村:
学校中心ではなかったんですね。
金谷校長:
それがあったのでなかなか(取り掛かれなかった)。
事務量がやろうと思うと大変な量になりますし、そういうものに専従を置くということもなかなかできなかったので、どうしても最初の取っかかりの組織というか、どういう人を配置するとか、どういう方に会長になっていただく、副会長になっていただく、事務局長になっていただくということも
それを今の現場の職員なり事務でやるというのはノウハウも何もございませんのでね…
よろしくお願いいたします。
同窓会を立ち上げるきっかけは?
中村:
職員の方とか先生方もとっても忙しくされている中で、なかなか(同窓会を)立ち上げられないというのはわかるんですけど、当然卒業生がいらっしゃるわけですけれども学校を中心として、役員を決めて同窓会を立ち上げようって思ったのはどのようないきさつがあったのでしょうか?
金谷校長:
もう卒業生が1万3千人を越えております。
例えばうちの父なんかはここの1期生で87歳ですけれども、学校の運営もこれから非常に厳しくなってくると、18歳人口もどんどん減っていきますしね。
当然師弟のお子様にも入学していただけるんですけどその同窓会の方々を通じて、うちの学校のことをもっと広く世間に広めていただいたり、本校の良さをよく知っていただければというのが今の私ども運営しているものの考え方でございます。
中村:
実際に(同窓会の)立ち上げとしてはどういう風なところからお考えですか?
金谷校長:
大先輩の方々は私どもも教員もですね分からない者がたくさんおりますので今は直近の卒業生十期を六十一期ぐらいから現在までの方々に一度、お声がけをして、そして現状の住所が卒業時の住所になっております。
親御さんの方に一度ご案内をお送りして、今は仕事をして全国に散らばっていると思うので転送していただければと思います。
中村:
是非、お子さんに渡していただきたいですね。
金谷校長:
LINEとか色んな方法で転送していただくことが出来るのであればそこから学校の方に直接か同窓会事務局の方に登録していただいて、それで少し時間はかかるかもしれませんがそうやって同窓会のまず横を把握してそれを今度は縦にしていこうと考えております。
それが出来上がりましたらどんどん積み上げていければ良いかなと思っています。
中村:
スタートは直近の十期生のお歳から行くと30代半ばくらいですかね。
金谷校長:
30代半ばから下の世代ですね。
中村:
現役で一番働いている世代ですね。
金谷校長:
それだと大体名前も顔も分かっておりますし、最初に集まったりした時には同窓会のアットホームな感じが出るかなと思っております。
それを聞いて色々な方々に参加していただけるカタチになれば良いかなと考えております。
中村:
親御さんのところに通知が届いたら、お子さんのところに通知を届けてほしいですね。
何らかの形で伝えてほしいですね。
金谷校長:
是非、そういう風にしていただければ助かります。
富山県理容美容専門学校について
中村:
お父様の時代からというとすごい時代の変化があったと思うんですけど、学校の紹介をしていただけますでしょうか。
金谷校長:
まず本校はですね理容組合と美容組合が共同して運営している学校です。
最初は理容組合が学校を作っていただいて、そこに美容組合様の方々も一緒にやろうとなりました。
(理容と美容が)一緒にやっているところはあまりないので、理容は理容、美容は美容が多いですね。
中村:
もともとは理容だけだったんですね。
金谷校長:
最初は理容組合様が出資をしてくださって、組合からお金を集めていただいて立ち上げたというところでございます。
中村:
組合が立ち上げたとなると公的なイメージがありますね。
金谷校長:
そうですね、「組合立」という学校があります。
組合が運営の一部の事業として学校をやっているところがありますね。
そんな中で先輩経営陣が非常に優秀だったのが理容と美容を一緒にまずやったというところですね。
これは非常に先見の明があって、他県だと理容組合が作っている理美容学校、美容組合が作っている美容学校と2つあったりするんですけど、そうすると色んな意味でバッティングしますよね。
そういうのが富山県理容美容専門学校は無かったので、先輩経営陣の方々の先見の明が良かったという事と将来的なことを考えた時に学校法人として税の優遇を受けた方が良いだろうと組合から切り離して別の法人格を持たせてもらいましたので、先輩経営陣の方々には感謝しています。
そこを引き継いでやらせてもらっている今の理事会も理容組合と美容組合から理事を派遣してもらって運営しています。
卒業生と理美容業界について
中村:
毎年卒業生はどれくらいいらっしゃるんでしょうか?
金谷校長:
学校を作らなきゃって時だと理容科だけで3,400人くらいでした。
そういう時代からずーっときまして、今は今、理容科は一学年数名とかですね。
今は美容の方は約100名前後卒業していきます。
ビューティービジネスを入れますと120名前後の卒業生になっております。
中村:
卒業生は社会に出ると地元で働かれるのですか?
金谷校長:
半分は県外へ出ますね、多い時だと6割以上が県外へ出ます。
東京と名古屋へ出ていく人が非常に多いですね、富山は基本的には富山に残る人よりも出ていく人の方が多いのでね。
組合が運営している学校なので地元の組合で残っていただくことはあるんですけど求人が県外からもたくさん来ますのでね
中村:
結構人手不足というのは聞きますけど、実際にはどうなんでしょうか?
金谷校長:
人手不足もありますが、うちが生き残っていくという意味でカリキュラムは現場に沿った授業体系になっています。
例えばシャンプーなんかも年間150時間、2年生になると200時間くらいのシャンプーの実技をさせます。
そうするとシャンプーの時に手が動いてお店に入ったらすぐシャンプーが出来ます。
富山県理容美容専門学校のカリキュラムの特徴について
中村:
200時間のシャンプーって普通はそんなにしないものですか?
金谷校長:
しません。
実はシャンプーって凄くコストのかかる授業なので、お湯を莫大に使いますし、1時間の授業で約6t~8tのお湯を使います。
いっぺんに20人洗いますし、それを交代すると40人洗うことになりますので、1回に約200Lほど、1人で1回で使います。
中村:
それ設備も大変ですよね?
金谷校長:
そうですね、全部で170坪ほどの中で平地面積の中で4階建てのものを建てて、大きなタンクがたくさんあるんですけどそういうタンクが敷地内に設置できると、(敷地が無いと)そんな事は出来ないんですよね。
そうするとシャンプー等の授業はやらないとなりますので、別に国家試験にシャンプーがあるわけではないのでですから授業をしなくても免許は取れるんですけどそうするとシャンプー等の授業はやらないんですよね。
だから「シャンプー出来ますか?」って言ったらうちの子たちはシャンプー出来るわけですけど、(シャンプーの実技が無いと)出来ないという事になるんですね。
中村:
(理美容室としては)こちらの生徒さんのほうが欲しい人材というわけですね。
金谷校長:
はい。簡単に言うと「間に合うよね」って言われますね。
中村:
現場では即戦力が欲しいですもんね
金谷校長:
そういうふうな形でカリキュラムを組んでおりますので別にカラーは国家試験であるわけじゃないけど、カラーをきちっと学んでもらいます。
最終的にはモデルさんを呼んでカラーができるような形を取っています。
カラーの授業もたくさんするわけなので、カラー剤も1人1,000円くらいコストがかかるんですよね。
カラー剤って1人分800円も700円もするのでね。
そういう授業をすると子どもたちがカラーリストにもね「カラーの専門家になろうかな?」とか目指す子たちも増えるわけですよね。
中村:
実際にやる事は大変ですよね。髪質の問題とか色々ありますよね。
金谷校長:
どんなふうな形でどんな色を何回入れてそれをまた脱色して何を何回繰り返しているという履歴と言うかヒストリーがわかっていないと行けませんしね。
そして前の薬品と今の薬品を使った時にどんな髪の毛に染まり上がるかというのもやはり熟知しないとなかなかキレイなカラーリングが出来ないんですけど、そういう素地を富山県理容美容専門学校では資格も含めて取らせていこうと思っています。
富山県理容美容専門学校に入学される生徒さんはどんな方?
中村:
入学される生徒さんは県内の方が多いんですか?
金谷校長:
もちろん。
8割方は県内ですけれども、石川それから福井からも来ます
中村:
あ、石川や福井からも来られるんですか?
金谷校長:
ええ、来られます。
おかげさまで営業も出て行きますけれども、やはり石川福井の業界の方々が石川県にも福井県にも学校はあるんですけれども、業界の方々がもし美容師や理容師になるんだったら「富山さんに行かれたら?」という風にここ数年で、そう言っていただけるようになりまして大変ありがたい話なんですよね。
中村:
校長先生に学校づくりにもご尽力がある
金谷校長:
あと最近は岐阜の高山あたりからも10年ぐらい前からちょこちょこ来ていただいたり、新潟は上越の方は結構来ていただいてます。
新幹線でね。新潟は距離が近いので。
長野の方も年に一人二人という形で来ていただける様になっていますね。
富山は結構中部圏からすると来やすいところでございまして、そういう地の利も少しあると思うんですけれども
うちの学校の取り組んでいるカリキュラム2年間もあるわけですから、2年間しかないではなく、2年間もあるんですね。
それをどうやって雇っていただく美容室の企業様に早く儲けていってもらえるような形の人材を供給したいと考えております。
リアルな理美容業界について
中村:
お店に貢献できる人材づくりというわけですね
金谷校長:
それがやはり子供たちにとって、卒業生にとっても現場でのアドバンテージになると思いますね。
中村:
そうですね。
金谷校長:
横並びではないので美容室って…
できる子たちがどんどん先に行くという話がなので、それは先輩でもあまり関係ないので
中村:
技術が優先される
金谷校長:
そのためにはやはり「出来る」ということが非常に重要です。
資格があるということじゃなくて「出来る」
中村:
資格を取らせるってだけじゃなくて
金谷校長:
「出来る」ということが一番ですね
だから「出来る」ことを教えるというのは教員ができなきゃいけないということなので、うちの教員のスキルは全国でもトップレベルだと思っています。
現場で美容師として理容師としてどんどん仕事ができると思います。
生徒からしたら現場でやっている人に教えてもらいたいのは当たり前じゃないですか。
モデルさんを使っている授業をなるべく多くしています。
中村:
お話を聞いているとやっぱりこの2年間という学校生活の中で資格を取るとか技術を覚えるという目的があるにしても、生徒さんと先生の絆が強そうな感じがするんですよね。
金谷校長:
当然、生徒には上手い子もいれば下手な子もいます。
ただ何かの機会でものすごく上手くなる子って必ずいるんですよ。
勉強でもそうかもしれませんけれど技術のところなんていうと、結構すっと伸びる子もたくさんいるのでね。
それってやっぱり根気よく出来なくても次に出来るようになるまで練習させてそれを見てあげるという、その手間って結構かかるのでね。
終わったからそれで終わりっていう事はうちは実はしていないんですよ。
練習させるということなんですね。
中村:
出来るまで教える
2年間の授業の中で生徒自身が自分に合った働き方を身に付けられる
金谷校長:
出来るようになるまでやらないと、それの繰り返しなので僕らの仕事はね
学生のうちからそういうことを身につけないと上手くいかないんですよ。
例えばシャンプーでも150時間や200時間やると実は手が荒れるんですよ。
手が荒れた時にどうやって手のメンテナンスをするかということも教えさせなきゃいけない。
それぐらいやりますと腰が痛くなるんですよ。
腰が痛くなったりするのも職業病なんですけど、じゃあどうやったら腰が痛くならないでやるのという話が、学生のうちから、ある程度の量をやらすことによって「自分は痛くなるんだ」じゃあ、どうすればいいんだ?ということですね。
そういう風なことまでちゃんとやらせないと(生徒たちが学べない)
中村:
現場ではどっちみち起こるわけですもんね
金谷校長:
腰が痛くて辞めちゃったとか、手が荒れて辞めちゃったなんても結構あるんですよ。
せっかくこの仕事に入って学校を卒業して免許を取ったけど、アレルギーになったりとかですね。
本当に一部の生徒だけなんですが、そういう子が一人でも二人でもいて「あの子センス良かったのに…」「せっかくやりたかったのに辞めちゃったな」ということは非常に忍びないので、そういう事を無くす意味でもやはり実践してという話になっていて
例えばアレルギーになったりすると、アレルギー反応が出るものには触れない。
毛染めなんかでもアレルギーになる子もいますね、その子は毛染めには触らない。
例えば毛を触らないでまつ毛エクステンションとか、エステの方に進ませるとかね
そういう風に方向転換も出来るわけですよ。
(アレルギーの)可能性の方もいるわけですよ。どうしてもアレルギーって何回もやっているとそれが蓄積していきますから。
そういうアレルギー反応が起きる前にそれをどうやって止めるかということも学科の方で香粧品化学とか保健というところでですね
皮膚科学、生理解剖学がありますのでそういうものを全部教えるという形になっております。
中村:
僕らが考えるのとは全然違うんですね。
金谷校長:
美容の国家試験というのは衛生上のこととかそれから体のことなんかですね。
今回のコロナの件でも理美容室は閉鎖にならなかったんですね
なぜかというと衛生管理の授業をちゃんとしているからですね。
感染症に対する授業をしているからなんですね。
消毒法をちゃんと熟知しているので、理美容室で恐らく感染症は発生しないというのが厚生労働省の考え方なのでそのための国家資格なので
国民の方々の生活衛生に資するって理容師法、美容師法に書いてありますので生活衛生に資するとなると感染症や色々な健康の事にも私たち理美容師だからこそ言えることもあるのでそういうことをしっかりと勉強した上で出て行っていますよということになるわけですね
富山県理容美容専門学校の卒業生の皆様へ
中村:
お話が変わるんですけど、1,000人ぐらいですかね?
お手紙がいくかとは思うんですけれども校長先生からメッセージをお願いでいますでしょうか。
金谷校長:
富山県理容美容専門学校 校長の金谷と申します。
卒業生の諸君各地で頑張ってくれていると思います。
東京に居たら同期会という事で理容美容の子たちがよく集まっている話を聞きます。
そしてfacebookなどのSNSで集まっている様子を見させていただいた時にそこにね是非僕も飛んでいきたいなと思う時もあるんですけれども今度そういう集まりを皆さんやっていらっしゃるのを学校網の中に双方向の連絡を作らせていただいてそういう横のつながりを少しずつ縦の組織にしていって学校の方もお手伝いさせていただきましてきちっとした学校の同窓会を立ち上げさせていただきたいと思っています。
各親御さんの方に今わかっている住所にハガキを送らせていただきましてお父さんお母さんの方から皆さんにこういうハガキが学校から来たよという風に言っていただいたらじゃあ送ってって言っていただいて、そしてそれを手に入れていただくとSNSで送っていただければいいと思います。
もちろんそうなった時に学園祭とか同窓会っていうのもまたですね学校の方で企画させていただいて集まっていただく富山来ていただくチャンスまたその地区でですね今はzoomかもしれませんけれどもまた色々な企画を立てまして皆さんその地域でやっていただく
東京や名古屋などその地域で集まる事がありましたら企画させていただいてそこにうちの学校の先生が行っていただくという風にも企画を考えておりますのでまずは色々な皆さんの情報を今の現況を是非、知らせていただければと思っております。
よろしくお願いいたします。
元気でやっている姿が一番いいんですけど、少し方向を変えようかな?お店を変えようかな?それは技術が熟練していく中で別のところにもチャレンジしていくというのは当然のことなので、そういう時にいくらでも学校としてはずっと協力させていただきたいと思っていますので
中村:
今日は富山県の富山県理容美容専門学校の校長先生にお話を伺いました。
ありがとうございました。
金谷校長:
ありがとうございました。